礼文島に“伝説のトド撃ち”がいる。俵静夫、88歳。厳寒の海に小舟で向かい、体重1トンのトドを仕留め続けてきた。一発で的確に獲物を仕留める技を持つ者は、今後現れないとさえ言われている。昔、島民にとって、貴重なタンパク源だったトド。しかし今、猟の目的は深刻な漁業被害を減らすための駆除となった。漁師でもある俵はこう語る。「人間が魚を取りすぎたからだ」と。命を奪う意味とは何か?北の海で暮らす老猟師の日々。